太陽電池の歴史
1954年 太陽電池誕生
アメリカ・ベル研究所:ピアソン、チャピンらの研究者がシリコン(珪素)の単結晶から電気を取り出すことに成功!
当時の発電効率は僅か6%
しかし発電効率6%でも、その発明は画期的で「人工衛星・灯台」など特殊な所で使われるようになりました。ただ一般的には発電効率の低さ、そしてなにより価格の高さが響いてしまい出回ることはなかったようです。
現在の発電効率は東芝の22.1%が世界最高クラス
スマートソーラーインターナショナルという会社が、発電時の熱エネルギーも併せて電気に換える新方式を開発していて、40%以上に引き上げることが可能なようです。※ちなみに火力発電の発電効率は55%以上とその差は大きいです。
※発電効率と変換効率の違い
根本的には一緒です。前後の文面等で使い分けられてるようです。基本的にセルで光エネルギーを電気に変えている部分の言い方の事なので難しく考えない方がいいです。
1973年 太陽光発電が日本に登場
第一次オイルショックが起き、化石燃料の枯渇が注目され、エネルギー自給率が低い日本にとって将来のエネルギー危機が国家的問題と騒がれた。
そして翌年…「1974年:サンシャイン計画スタート」※太陽電池の開発が国家プロジェクトになったということです。
サンシャイン計画
原子力を除く、新エネルギー(太陽・地熱・石炭・水素)を4本柱として技術の開発を長期的(2000年まで)にやろうという計画
風力・海洋エネルギーは基礎的研究を始めている。サンシャイン計画の象徴として太陽熱(ねつ)発電がありました。たくさんの鏡で光を集め、水等を加熱して発電する計画だったようですが綺麗に失敗に終わったようです。
太陽光発電の方では当時主流の「多結晶シリコン」のコストダウンを進めていきつつ、もっと低コストな「アモルファスシリコン」の技術開発が進められたようです。
1993年 ニューサンシャイン計画スタート
持続的経済成長・エネルギーの安定確保・地球的環境問題対応の同時解決を目指した。「2030年度ロードマップ」が策定され、国の太陽光発電普及拡大に大きな期待が持てる。
※2030年⇒2050年に期間変更されました。
太陽電池は「独立型主体」
当初、太陽電池は「独立型」での利用がほとんどでした。
「独立型=単独で利用する仕組み」
太陽光発電システムを電力会社と繋がず、発電した電気はその場ですぐ使うかバッテリー(蓄電池)に貯めて後で使うというのが独立型の特徴。東南アジアのような発展途上国では電柱を立ててケーブルを引くといった大きなコストがかからないため重宝されている。
しかし独立型は日本では…「×」
- 電気の配線網はかなりの田舎でも行き渡っている
- バッテリー(蓄電池)は寿命が短い。コストが高い。さらにメンテも大変!ときてるので、一般家庭で普及するわけがなかった
そんなときに救世主が現れました。それが「売電」です。
”余った電気をバッテリーに貯めるのではなく、電力会社に買ってもらおう”
これなら寿命の短いバッテリーにお金をかけることなく、余剰電力も無駄になりません。しかしそこには電力会社との間に「系統連系」しなければいけなく、技術的・法的な問題をクリアしなければならなかった。
太陽光発電 法的な問題事例 1990年代初頭の電気事業法
- 太陽光発電を設置する家は「太陽電池発電所」と定義され、保安管理のための電気主任技術者が必要とする
- 通産大臣への認可が必要とする
…等々、なにやら大掛かりなことになってしまうようで、とても一般住宅に普及する訳がないのは一目瞭然でした。
なので当然…電気事業法が改善
「500kW未満の太陽光発電システムの手続きが大幅に簡単になった」
さらにこの時、電力会社の余剰電力の買い取りも決まりようやく一般家庭への道が開かれたのでありました。
1994年 国が補助金をスタート(太陽光発電のモニター制度という形で)
当時の太陽光発電システムの価格「3kW/600万円」という高額な設置費用を補助金でカバーしつつ、ゆっくりと始まっていきました。
2005年 京都議定書の発効
日本は「2020年までに温室ガス25%削減」を目標に掲げ、それを世界に向けて発信しているので、太陽光発電の普及が不可欠であることが政府によって言及されています。
いわば太陽光発電システムの普及は国を挙げての一大イベントみたいなものです。
現在のエネルギー計画
現在、日本では「第5次エネルギー基本計画」のなかで、2050年までに温室効果ガスを80%削減する目標を立てています。太陽光発電はその中の「再生可能エネルギー」に分類され、経済的に自立した主力電源化を目指すと位置づけられています。
今までは売電に頼り、とても自立したエネルギーとは呼べない面もあった太陽光発電ですが、今後は太陽光発電システムの価格低減、蓄電池の普及、光熱費の削減効果、HEMS・ZEH(ゼロエネルギーハウス)等と併せ、より一層の普及を図っていく方針です。
このような視点から見ると、太陽光発電の未来は明るいですよね。